第5章 Important person〜それぞれの想い
翌朝
怪我の具合を見に家康が飛鳥の部屋を訪れると、飛鳥は褥にちょこんと座りボーッとしている
『飛鳥?傷の様子見させて』
「うん…」
そっと鎖骨の傷を手当てしながら
『ここはね、傷が深かったから縫合したんだ…きっと跡が残ると思う。』
「うん…」
脇腹の痣に軟膏を塗る
『しばらく経てばこっちは大丈夫だから』
「うん…」
家康は一番言いづらいことを口にする
『後…最善を尽くしたけど…月のものが来なかったら…俺に言って。』
一瞬目を見開いたがまた虚ろな表情になり
「うん…ありがとう」
そう言うとまた褥に横になり目を瞑った。
眠りにつく飛鳥を見ながら家康が苦しそうな表情になる
そこに政宗が来る
『飛鳥は起きたのか?』
『はい。さっき起きたので手当てをしたら、また眠りに…』
布団を肩まで掛けてやりながら家康が桶と薬箱を持って立ち上がる
『そうか…目覚めたら何か作ろう…』
そっと障子を閉める
昼近くになると秀吉が書物を持ち飛鳥の部屋に入る
寝ているのを確認し机に広げ仕事を始める
(家康や政宗と違い俺は何も出来ない…ただ側にいてやるくらいしか出来ない…)
飛鳥が目覚めるまで側に居ようと決め静かに書き始める