第42章 夜も日も明けない〜家康〜
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家康…
秀吉さん?
どこにいるの?
見えないよ…
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『飛鳥!』
家康が必死に呼びかける
飛鳥の顔が歪む
『家康!飛鳥の顔!反応してるはずだ!』
『飛鳥!起きて!』
皆、心配している…
近しい家臣達も寝るれない夜を過ごしていた。
皆固唾を飲んで見守る。
もちろん政宗達も同じだ。
御殿に帰る事なく城に留まっていた。
飛鳥の部屋から聞こえる声に焦り、皆集まってくる
『飛鳥!』
『飛鳥様!』
政宗と三成も呼びかける。
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政宗?
三成くん?
どこ?
家康…どこ?
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飛鳥の周りで呼びかける家康達を光秀も部屋の入り口で見つめる。
『信長様…』
光秀の声に秀吉が気づく。
信長もまた寝れぬ夜を過ごし、声を聞きつけ部屋に来ていた。
『御屋形様…』
飛鳥の傍に座り声をかける
『飛鳥…貴様、いつ迄寝ておる…』
悲しみが篭る声。
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信長…様?
皆んなどこ?
どこにいるの?
家康!
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『飛鳥…』
気づくと夜も明けている…
誰も諦めない…
『飛鳥…目を覚まして』
握る手に力が入る
ピクっ…
『飛鳥…?飛鳥!』
微かに握る手が動いた気がした。
『飛鳥!目を覚ませ!飛鳥!』
手を握りながら頬を撫で、秀吉達も声をかけ続ける
『飛鳥…戻って来て…』
家康は項垂れ、目から涙が溢れた…
「い…え、や…」
微かに聞こえた。
飛鳥の声…
自分の名前を呼ぶ。
思わず顔を上げる。
『飛鳥…?』
目は開いてない。
だけど…
「いえ…やす…」
確かにそう言った。
『飛鳥!』
飛鳥の声は秀吉達にも聞こえた。
『薬師を!』
家康の声に周囲は慌ただしく動き出す。
『飛鳥!目を開けて!俺を見て!』
薄っすらと開く飛鳥の目。
目の前の家康を見つめる。
「お…か、えり…」
力なくだが、もう一度名前を呼んでくれた…
笑ってくれた…
『っ!…ただいま…』
目を…覚ましてくれた…