第42章 夜も日も明けない〜家康〜
翌朝
家康と信長は東側に向けて出立して行った。
部屋に戻りお針子の仕事をしていると
『飛鳥様』
「凛さん?どうぞ」
部屋に入る凛は飛鳥の前に座り深々と頭を下げる
『家康様より本日から飛鳥様の手伝いをと、仰せつかりました。宜しくお願い申し上げます』
「家康から?そうだったんだ。私こそよろしくね」
ニコッと笑うと凛も笑ってくれた。
それから数日間、凛は飛鳥の世話を進んでしてくれる。
家康同様、飛鳥の行動を先読みして、食事、湯殿、さらにはお茶まで…
「凛さんって、本当女の子の鏡だよね!」
凛が淹れてくれたお茶を飲みながら感心する
『いえ!私なんて全然…まだまだで御座います』
そんな謙虚な所も、やっぱり女の子の鏡…
「凛さんが好きになる男の人はきっと幸せ者だね!」
凛の意図を何も知らない飛鳥…
素直にそう思っていた。
『もし…もし一緒になれるのなら、地の果てまでも御一緒しとう御座います。』
「あっ!凛さん好きな人いるんだね?うわぁ…どんな人だろ!」
凛は家康の事を思い浮かべる…
『無口ですが…とても凛々しいお方です…』
家康を思えば思うほど、頬が赤くなる
「無口なんだ!ふふっ、家康と一緒だね!早く恋仲になれればいいね。応援してるよ!」
(貴方が居なくなれば…恋仲になれるのに…)
『ありがとうございます。…飛鳥様、そろそろ夕餉の時間ですね。お持ち致します。』
「いつもごめんね。ありがとう!」
凛は飛鳥の部屋を後にする。
家康が行ってから飛鳥の食事やお茶は、凛が世話をしていた。
もちろんその他も世話をしながら飛鳥の体調を観察する。
食事には薬草を少量。
お茶にも。
そろそろ効果が現れる時…
側で変化を見続けなくてはならない。
薬草を淹れた夕餉を持ち飛鳥の部屋に戻った。