第42章 夜も日も明けない〜家康〜
政宗達から謀反確定の知らせが入った。
戦になる。
家康は援護軍として向かう事になる。
相手の勢力は安土の足元にも及ばない。
(薬は足りる。)
出立は明日の朝。
秀吉は城に置き、信長と家康が行く。
政宗、光成、三成と合流の後、戦を仕掛ける。
軍議が終るとそのまま飛鳥が居るお針子部屋に向かった。
『入るよ』
襖を開けると、談笑しながら仕事をしていた飛鳥。
『家康様っ!』
お針子達は姿勢を正す
『ちょっと飛鳥借りて行くけど』
飛鳥の手を引いて部屋を出た。
「さっき軍議だったんでしょ?」
不安げに聞く飛鳥
『うん。戦が始まる。明日の朝城を出る』
「そっか…」
下を向く飛鳥を抱き締める
『すぐ終わらして帰る。あんたはここで待ってて。』
「うん…」
抱き締めたまま続ける
『心配いらないから。城には秀吉さんがいる。あの人ならあんたの事守ってくれるから。』
もっと気の利いた言葉をかけたいけど、上手く伝えられない。
だから抱きしめる腕に力を込める
「うん。待ってるね。ちゃんと帰って来てね?」
俺の言いたい事は飛鳥に伝わってるはず。
『家康様。御準備を』
凛が声をかけにくる
『あぁ、分かった。』
腕の中の飛鳥を離し
『夜、部屋で夕餉を取ろう』
「うん」
そう言って準備の為部屋に向かう。
後ろで飛鳥に一礼した凛が付いてくる。
『薬を包むから手伝って』
『はい』
凛に告げて薬部屋に入った。
部屋に入ると違和感を感じる。
(なんだ…。これ。凄い違和感。)
部屋を出た時となんら変わらない様に見える。
だが、何故か違和感がする。
『家康様?こちらを包めばよろしいですか?』
凛の声にハッとなり頷く。
『しばらく城を開けるから、この部屋には入らないで』
話しながらも違和感の元を探す。
(何が違うんだ…)
必死に探すも見つからない…
『家康様…終わりました。』
全ての準備をすると夕刻になっていた。
(飛鳥が待ってる。)
『凛、飛鳥の部屋に夕餉を持って来て』
『わかりました』
凛が部屋を出た後、もう一度周りを見渡す。
だがやっぱりわからない。
首を傾げながら飛鳥の部屋に急いだ。