第42章 夜も日も明けない〜家康〜
『飛鳥』
「家康…」
湯浴みをして夜着に着替えた家康が部屋に来る
『湯浴みしてないんでしょ?支度頼んで来たから行ってきなよ。』
そう言われ落胆しながら部屋を出る
トボトボ歩きながら向かう途中、秀吉に会う
『どうした飛鳥?そんな塞ぎ込んで…』
(秀吉さんって何でも気付くよね…)
秀吉を見てため息をつく飛鳥
『なんだ?話してみろ』
そう言われポツリポツリ話し出す。
飛鳥の話を聞き終わると
『凛と会ったのか。少し前に入った女中だが、よく気が利いてな…何をやらせても非の打ち所がない様な女中だな。飛鳥、お前もお針子の仕事があるんだし、凛に任せても平気だぞ?それともアレか?ヤキモチか?』
優しく頭を撫ででくれる秀吉。
「凛さん、そんなに出来る人なんだね…ヤキモチ…ヤキモチなんだと思う…もっと家康に色々してあげたいんだけど…」
秀吉に言われ、自分が凛にヤキモチを妬いていると自覚する。
『でもな?飛鳥。あんな天邪鬼飛鳥じゃなかったら相手出来ないぞ?安心しろ』
「うん。ありがとう」
そう言って秀吉は行ってしまった。
(気持ち切り替えよう…)
少し話を聞いてもらってスッキリした飛鳥は湯殿に向かった。
『遅い』
湯浴みから戻った飛鳥に呟く
「ごめんね?家康。」
それでも急いで戻ってくれたのだろう。
髪がまだ濡れている。
『ここ座って』
家康の前に座らせると、飛鳥の頭を優しく拭く
『ちゃんと乾いてない』
『風邪引くでしょ』
『どんだけ心配かけるの』
ブツブツ言いながら髪を乾かし、櫛でとく。
一連の流れに頷きながら飛鳥は微笑んでいる。
『出来た。寝るよ』
手を引いて褥に向かい飛鳥を寝かすと、隣に寝転び抱き締める
「家康…今日もお疲れ様…」
飛鳥は褥に入るといつも労ってくれる。
『あんたが隣に居ないと寝れないんだから。』
抱き締める腕に力を込める。
ほとんど一日薬部屋に籠って飛鳥の側に居られなかった。
(あぁ…落ち着く)
家康に抱き締められる飛鳥が寝息を立てる。
『寝るの早いから』
そう言いながらも飛鳥のおでこに口付けを落とし、家康も眠りについた。