第42章 夜も日も明けない〜家康〜
部屋に戻った飛鳥は、いつもは御殿でやっているお針子の仕事をしながら、襖を開けて心地よい風に当たる。
『飛鳥』
「秀吉さん」
隣に座った秀吉がニコニコしながら頭を撫でる
『しばらく城にいるんだろ?またゆっくり茶を入れてやるからな』
「本当に?ありがとう」
久しぶりに撫でられて家康とは違う、家族の温かさを感じる
『飛鳥がいない間に少し女中が増えたんだよ。後で紹介してやるからな』
「うん!お願いします」
また頭を撫でで秀吉は政務に戻る
昼を過ぎると軍議が開かれ飛鳥も末席で話を聞く。
『謀反の噂があるのは東側の大名。まだ確定はしておりませんので、三成と政宗を向かわせます。光秀は既に大名の近くに潜伏しております。家康は薬の手配を。』
秀吉が、既に決まっていた通り指示を出す
『飛鳥はいつも通りお針子の仕事な?』
微笑みながら安心させる秀吉
飛鳥が戦に不安がるのをわかっている
『飛鳥。俺の隣でやって』
「うん、わかったよ」
少し不機嫌になりながら家康に言われ、返事をする
『皆の者かかれ』
信長の声に家臣達が動き出す
『飛鳥行くよ』
少し荒く手を引かれ飛鳥達も広間を後にする
「家康?」
手を引いて歩く家康に声をかけると
『何』
その声はさっきよりも不機嫌
「何で怒ってるの?」
家康の不機嫌になる理由がわからない
それに答えずに家康は部屋に飛鳥を連れ込んだ。