第42章 夜も日も明けない〜家康〜
『飛鳥、明日からしばらく城に泊まるよ』
褥に横になってる飛鳥は、恋仲になった家康の御殿に住まいを移していた。
「城に?また…戦があるの?」
不安になりながらも聞くと
『まだわからないけど、謀反の疑いがある大名がいるから…戦になってもいいように薬とか作らなきゃだから』
「そっか…」
戦は嫌いだけど傷を負った人を治療する時に、薬が足らないなんて事になったら大変だ。
『備えは必要だから』
家康が言ってることはよくわかる。
(私にも何か手伝いできる事あるかな?)
『飛鳥?もちろん一緒に来るでしょ?』
「うん、何か手伝える事あるかな?」
家康はフッと笑って飛鳥を抱き締める
『何もしなくていい。お針子の仕事もあるでしょ?隣にいればいいから』
たまに優しく素直になってくれる家康が大好きだ。
「うん。わかったよ」
しばらく抱き合って眠れないだろうと、家康に寄り添い眠った。
翌朝から城に戻る
久しぶりの自室は懐かしさもあるが、家康が側に居ないだけで少し落ち着かない。
「しばらくここで寝るんだな…」
部屋に荷物を置き、信長に挨拶に行く
「信長様、飛鳥です」
『入れ』
襖を開けると家康も挨拶に来ていた
『何を呆けてる。早く座れ』
「あっ、はい」
急いで家康の隣に座り
「またここでお世話になります!よろしくお願いします!」
頭を下げる
『あぁ、わざわざ言わなくとも、ここは貴様の家だろう?』
そう言ってくれる信長様
飛鳥にとってここは実家みたいなもの。
「はい。今まで通りのお仕事をしながら居ますね」
ニコニコ笑う飛鳥に、瓶から金平糖を一粒出して口に放り込む
『皆には秘密だぞ』
『いや、秘密になってません。俺の前ですけど』
そのやり取りを見て
「じゃぁ信長様と家康以外には秘密にしますね。特に秀吉さんには…」
信長が金平糖を食べると、小言を言う秀吉を思い出し、クスリと笑う