第40章 感謝の気持ち
「はぁ…気持ちいい…」
一日中前屈みになり木を掘っていた飛鳥の身体はバキバキで、湯に浸かった瞬間筋肉が逸れるのがわかった。
(明日は袋を作らなきゃだなぁ…)
身体が温まり疲れがでた飛鳥は、ついウトウトしてしまう。
息苦しくなって目を冷ますと頭まで湯に浸かっていた
「っ…ぷはぁ!!!!」
(危ない…寝ちゃった…死んじゃうかと思った…)
慌てて湯を出て夜着に着替えると、のぼせてフラフラしながら湯殿を出る
角を曲がれば部屋に着くところで膝に力が入らなくなり
「あっ…」
フラッと倒れそうになる身体を誰かに支えてもらった
「すいません…」
見上げると光秀が抱きとめてくれていた
『のぼせたか?くっ…湯で寝たのではあるまい』
まるで見られていたかのように当てられ、のぼせた顔が更に赤くなる。
そんな飛鳥を無言で横抱きにし、光秀が歩き出す
「ちょっ、大丈夫ですから!下ろしてください」
それに答えるわけもなく部屋まで連れてこられ褥に寝かされる。
『存分に間抜け面を見させてもらった。早く寝ろ』
そう言って部屋を出て言ってしまう。
(優しくしてもらっちゃった…)
光秀の意外な行動に驚いたものの、疲れていたのかそのまま眠りについた
翌朝からは木札を入れる袋を作り始める。
木を掘る作業は苦手だが、縫い物なら得意な飛鳥はサクサクと作業をする。
『飛鳥?起きてるか?』
政宗に声をかけられ、またも慌てて声がでかくなる
「開けないで!」
急いで部屋の外に出る
『なんだよ、でかい声出して』
「ごめんね?ちょっと立て込んでて…」
何とか誤魔化して政宗を見る
『暇なら城下にでも行こうかと思ってな』
せっかくの城下のお誘い。
でも城下に行ってたら間に合わない。
「ごめん、今日はちょっとやる事あるから行けないの…また誘って?」
『あぁ…わかった。じゃぁな』
そう言って手をひらひら振り政宗は行ってしまう。
申し訳なさを感じながらも部屋に戻り作業を進めた。