第36章 生涯共に…〜政宗〜
部屋に入ってきた成実と小十郎に飛鳥がお茶を淹れてくれて、4人で団子を食べる
『美味しいですね』
顔を綻ばした小十郎が、食べながら飛鳥を見る
『飛鳥様、殿をよろしくお願い致します』
教育係として昔から政宗と一緒にいた小十郎は、政宗が祝言をあげたいほどの女子が出来た事に喜びを覚えていた
「えっ、はい!こちらこそ不束者ですがよろしくお願いします!」
丁寧に頭を下げる飛鳥
『おい、その台詞は俺に言うんじゃねぇーのか?』
「あっ、そうだよね!」
慌てて同じことを政宗に言う
『まさか政宗から祝言って言葉を聞くとはな…』
うんうんと小十郎も頷く
『あぁ、初めてだな…俺も』
美味しそうに団子を頬張る飛鳥を見やる
『ところで、今日は何もなかったか?』
そう言うと飛鳥はピクンと反応する
『まさか、愛姫に何かされたか?』
口篭る飛鳥に変わって成実が説明する
『城下でバッタリ合ってな…いつもの如く排除にかかってたよ…まぁ政宗が祝言って言った女は後にも先にも飛鳥だけだからな…愛姫も今まで以上に行動的になるんじゃないか?』
はぁ…っとため息をつく
『あいつは…なんでこんなに執着するんだ…』
頭を抱える
「愛姫さん…純粋に政宗の事好きなんだと思うよ?だけど…不器用なんだね…」
何か考え深そうに呟く飛鳥
『飛鳥様もそう思いますか…』
小十郎も同じ様に考え込む
『まぁいくら好かれても気持ちが行く事はねぇーよ。安心しろ飛鳥』
飛鳥の頭を撫でて安心させる
「うん。信じてるから大丈夫だよ!あっ、でも…」
急に口籠る飛鳥
『なんか言われたか?』
「うん…政宗の事何も知らないって言われた…」
『はぁぁぁぁ?』
思わず大きな声が出る
『あぁ、確かに言ってたな…』
成実も思い出したかのように頷く
『なんだそれ?』
小十郎は黙って考えてる
『まぁ取り敢えずは、また、飛鳥の近くに居れるから…成実今日はありがとな』
団子を食べ終わり成実達は部屋を出た