第36章 生涯共に…〜政宗〜
宴も終わり政宗の部屋に戻る
「はぁ…」
(愛姫さん…怖かった…)
打掛を脱ぎ夜着に着替えながらため息が出る
『飛鳥大丈夫か?』
着替え終わって政宗の横に座りながら
「蛇に睨まれた蛙の気持ちがよくわかった…」
宴中視線を感じて顔を上げると愛姫が睨んでいた
思わず本音が口から出てしまう
『あぁ…あいつは昔からからあんな感じで、どんな女子でもあいつに睨まれだだけで怖気付いていなくなる程だ…』
(確かに…町で睨まれたらすぐ逃げちゃう…)
『だから、わざと夫婦になるっていう言ったんだよ。今まで俺がそう思った女は飛鳥以外一人もいないからな』
そう言って優しく頭を撫でてくれる
『まぁいずれ祝言を上げるんだしな。』
嬉しい言葉を並べてくれて、不安な気持ちが少し和らぐ
「うん…わたし絶対政宗から離れないね…あっでも、お仕事の時はどうしよう…」
離れないと言ってもお仕事の邪魔はしたくない
『どうしてもダメな時は成実と一緒にいろ』
「うん…わかった」
翌日から政宗は仕事に追われる。
しばらくは政宗の隣にいても大丈夫だったが、奥州にきて数日後どうしても離れなくてはいけない日が来た。
その日朝から政宗は出かけてしまい帰ってくるのは夕刻。
『飛鳥、成実と離れるなよ?』
「うん」
返事をしたのはいいが不安しか残らない。
『大丈夫だ。成実は信用できる。飛鳥いい子にしてろよ?』
そう言って政宗は城を出て行ってしまった。
(一人かぁ…成実さんすぐ来てくれるって言ってたけど…)
一人になる不安…
あの衝撃的な愛姫さん…
なんとなくソワソワして部屋の中をウロウロしてしまう。
『なんか子犬みたいだな』
ケラケラ笑いながら言ったのは成実
「あっ、成実さん!」
成実が来てくれたことに安心して駆け寄ると
『ははっ、駆け寄る姿も子犬だな』
頭をワシャっと撫でられると、まるで政宗みたいだ
「子犬かな?初めて言われたました」
『あっ、俺に敬語無しな?』
それもまた政宗みたい…
『えっと…うん!わかった!』
その返事にニカッと笑って今日の予定を聞かれる
「特に何もないんだよね…夕刻には政宗帰ってくるって言ってたから…」
『そっか、じゃあ城下に行くか?』