第36章 生涯共に…〜政宗〜
「わぁ…政宗のお部屋…」
マジマジと見渡すと飛鳥をそっと抱き締める
「政宗?」
『やっと連れてこれた…』
飛鳥を奥州に連れて行きたかった。
俺の生まれ育った奥州。
いつ命が散ってもおかしくないこの乱世で、好いた女を連れてこれるとは思っていなかった政宗。
腕の中の温もりを離すまいとぎゅっと力を込める
「政宗…連れてきてくれてありがとう。」
幸せそうに微笑む飛鳥を見つめて、そっと口付けをする。
トントン
『政宗、俺だ』
返事をする前に入ってきたのは成実。
『一応耳に入れとかないとと、思ってな…』
そう言って顔をしかめた成実を見て、今から言うことの予想がつく
『愛姫か…』
愛姫は政宗の幼馴染みで従兄弟だ。
成実もまた政宗の従兄弟。
『忘れてないだろうが…飛鳥気をつけろよ?』
突然名前を呼ばれてキョトンとしている飛鳥に成実が説明してくれる
『愛姫は俺たちの従兄弟なんだがな…昔から政宗のことが好きでな…その…政宗に近寄る女子を次から次へと…』
「えっ?」
びっくりしてる飛鳥は無意識に信長様から預かった短刀に触れる
『身の危険はないと思うぞ。人を殺めたりはしない…。だかな…』
短刀から手を離しホッとしている飛鳥に
『政宗の好いた女子達を物の見事に排除していくんだよ…』
「えっと…政宗の恋路を邪魔をする?って事でいいのかな?」
成実の説明に飛鳥なりに納得したらしい
隣にいる飛鳥をそっと抱きしめて
『安心しろよ…俺はなびかないから』
そう言って安心させる
『政宗、飛鳥には本気なんだな』
ニコっと笑う成実を見て
『あぁ…落ち着いたら飛鳥と祝言をあげる』
腕の中の飛鳥がびっくりして顔をあげる
「し、祝言って…」
『安土に戻って落ち着いたらな。ちゃんとお前の家族達に許しを貰ってな』
飛鳥の嬉しそうな顔
『家族達?』
訳がわからない成実に簡単に説明する。
もちろん500年後から来たことは伏せて
『飛鳥は織田家ゆかりの姫だからな。安土にいる皆が飛鳥の家族だ』
『そうか…』
成実は嬉しそうに言って、また宴でと言って部屋を出て行った。