第36章 生涯共に…〜政宗〜
広間に夕餉の支度が整い、いつもの顔ぶれが座る
恋仲になってから政宗の御殿に住んでる飛鳥は久しぶりにみんなと食べれる夕餉に喜びを隠せない
『相変わらずの間抜け面だな』
出された食べ物を一つにまとめてぐちゃぐちゃにする光秀に
『混ぜて食べるな』
秀吉さんの小言
『飛鳥様がいると皆様嬉しそうですね!私も嬉しいです』
そう言ってニコニコする三成に
『三成うるさい』
相変わらず大量に唐辛子を振って不機嫌そうに言う家康
『くっ、貴様ら静かに食えぬのか』
そう言いながら笑ってくれる信長
(あぁ…これもしばらくは無くなるんだよね…)
そう思ってみんなの顔をそっと見渡した。
『信長様』
食事が終わる頃政宗が声をかける
『なんだ』
『しばらく奥州へ戻るお話ですが…』
改まった政宗に飛鳥もピンと背筋を伸ばす
奥州へ戻る話はすでに皆んな知ってはいたのだが、飛鳥も一緒とは聞いていない
『飛鳥も連れて参りたい。お許しを』
深々と頭を下げる政宗の隣に座り飛鳥も頭を下げる
「信長様、お願いします!」
少しの沈黙の後
『…ならぬ』
「っ、お願いし…」
更に言いかける飛鳥の言葉に被せる様に
『飛鳥を泣かす様なことはならぬ。できるな?』
その言葉に政宗と2人で顔をあげる
『有り難き幸せ』
「ありがとうございます」
潤んだ目で信長を見ると、微笑んでくれている
これで奥州に行ける…
政宗の側にいれる…
『酒を持ってこい。今宵は宴じゃ』
信長の声に城にいる家臣も集めて盛大に宴をしてもらう
(ほんと…家族みたい…嬉しい)
飛鳥は家族の暖かさを感じながら宴を楽しんだ…