第36章 生涯共に…〜政宗〜
翌日の夕刻、政宗とお城へ行く
飛鳥の自室に向かい、少し片付けをする
「しばらく安土に戻ってこれないなら、お掃除しておかなきゃでしょ?」
そう言いながら掃除をする飛鳥に
『そう汚れてもいねぇーよ』
と、言いながらも政宗は手伝う
『あれ?飛鳥と政宗何してるんだ?』
通りかかった秀吉が部屋に入ってくると汗ばんだ額を拭いながら
「お掃除だよー」
と飛鳥。
『俺はその手伝い』
そう言われて部屋を見渡すと、もともとサッパリしていた部屋が更に何もなくなっている。
『ほとんど何も残ってないじゃないか』
何かを察した秀吉は少し悲しげに呟く
それに気付いた飛鳥はチラッと政宗を見てから、秀吉を座らせる
「秀吉さん…聞いてもらいたいことがあるの」
秀吉の前に座った飛鳥も少し寂しげで、秀吉の不安を煽る
「奥州に…青葉城に行こうと思うの…」
『奥州って…政宗の…』
「うん。あっ、別にずっとじゃなくてね?少し長く滞在すると思うから…だからお部屋の掃除して、で…信長様にお許しを貰おうって…」
そう言いながらも不安げな飛鳥の頭を優しく撫でる
『そうゆう事か。俺は飛鳥に、もう会えなくなるんじゃないかってびっくりしたぞ?』
秀吉の顔は優しく微笑んでいて、それを見て飛鳥も釣られて笑う
「大丈夫だよ?でも、ちゃんとしておかないとだから」
『なんだ?嫌なのか?置いて行く気はねえーぞ?』
秀吉と話している飛鳥を後ろから抱きしめる政宗に
『こら!人前で見せつけるな!』
いつもの様に小言を言いだす秀吉
『飛鳥は俺のもんだ。好きにさせろ』
そう言いながらも秀吉と政宗も笑いあった
『御屋形様はもうすぐ戻られるから、夕餉皆んなで食べるか』
「うん!」
秀吉が出てった後政宗は飛鳥を抱き締めたまま首に顔を埋める
『青葉から帰したくねぇーけどな…』
「私は政宗が奥州に止まるなら一緒にいるよ?政宗の側にずっとずっといるよ?」
そう言ってくれる飛鳥が愛おしくて堪らなかった。
『わかってる。お前が帰るって言っても帰さねぇーよ』
そのまま押し倒そうとする政宗に
「ダメダメ!お掃除終わってないよ!」
慌てて腕の中から抜け出した…