第30章 最愛の人〜秀吉〜
『秀吉の話だと嫁いだ先で死んだと聞いていた…だが生きていたんだな…』
愛していた人が生きていた…
もし私なら嬉しくない訳ない。
『飛鳥…』
「秀吉さんは…なんて…?何か聞いたんだよね?」
涙が溢れそう…
でもどうにか溢れない様に政宗を見る
『月華が…側には置いてくれと…』
瞬きをすると涙が溢れ出し頬を伝う
『秀吉に…その女はなんだと聞いても、なにも言わなかった…』
「っ…」
想い合ってても離れ離れになった人
死んでしまったと思っていた人
その二人の中に500年後から来た得体の知れない私が入り込む隙なんて…無い…よね。
「そっか…なにも言わなかったんだ…」
そっと頬の涙を拭ってくれる政宗
「政宗…?話してくれてありがとね…」
飛鳥を抱き締める
政宗の胸の中で泣く飛鳥の頭を優しく撫でた。
『飛鳥…秀吉にちゃんと聞け…話をしてダメなら…俺が貰ってやる…俺がお前を守るから…』
今ここで飛鳥を無理矢理奪う事なんて容易にできる。
だが政宗は飛鳥の気持ちを尊重する。
飛鳥を大切に想っているから…