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【イケメン戦国】誘惑の華

第30章 最愛の人〜秀吉〜





月華と再会してから数日

飛鳥は城にお針子の仕事をしに行っていた。

(飛鳥最近頑張ってるな…元気もないし…疲れが溜まってるか…)


まさか自分の事で悩んでるとも知らず、とんだ見当違いをする。

それを労おうと、甘味を買いに御殿を出た。

城下に出ると相変わらず女子達に囲まれるが、人たらしが故に丁寧に対応してから甘味屋に行く

まだ恋仲になる前、ここの団子を食べて微笑んだ飛鳥の顔がよぎる。

喜んでくれればいい…

そう思いながら来た道を戻る

『秀吉様…?』

呼び止められた。
振り向かなくても声の主はわかる。

『月華…』

空は暗くなり始めてる…
人通りもまばらになり始めるそこに、月華は立っていた。

『秀吉様…』

ゆっくり近づいて来る月華。
秀吉の目の前まで来て止まると見上げられる

あの時と変わらない黒く艶のある髪が風になびく…
月華との最初で最後の夜が頭をよぎる…

『生きて…いたのだな…』

やっとの思いで口を開く

『はい…家臣の方に助けていただきました。』

『そうか…』

しばらくの沈黙…
それを破ったのは月華だった

『秀吉様…あの日から…あの夜から…月華は秀吉様を忘れた事は一度も御座いません…。
秀吉様は…正室をお取りにはなってないと伺いました…』

そう言って秀吉の胸に顔を埋める

『どうか…どうか月華をお側に置いてくださいませ…』



月華との最後の夜…誓ったのだ。
もう愛する人を作らない。
御屋形様の大望を支える。
それだけの為に生きて行く。

だが飛鳥が500年後の未来から来て…
妹のように可愛くて…
そのうちに一人の女としてみてしまって…
自分で建てた誓いを守れなくなる程に愛おしくて…
やっと…やっと…手に入れた愛しい人…

飛鳥だけは手放したくない。
後悔したくはない。

この想いは揺るぎない…

月華に自分には愛しい人がいると告げようと肩に手を置いた時だった…



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