第30章 最愛の人〜秀吉〜
部屋の入り口に佇む飛鳥に秀吉が気づく。
『飛鳥…?そんな所に居ないで、早く入ってこい』
秀吉に言われ、ハッとして部屋に入る
『髪…乾いてないじゃないか…ほら、座って』
秀吉の前に座らされて髪を優しく拭いてもらう
飛鳥はこの時間かとても好きだった…
秀吉に甘やかされる…
秀吉の手は大きくて、暖かい…
その手が大好きだった…
優しく髪を乾かされて、櫛で整えてもらう
『よし!これでいい』
そう言って後ろから抱き締めてくれる秀吉
「うん…ありがとう…」
秀吉の腕に手を重ねてもたれ掛かる。
抱き締められても、不安が消えない…
『そろそろ寝ないとな』
頭を優しく撫でて立ち上がり飛鳥の手を引いて褥に入る
褥の中で抱き合い秀吉の胸に顔を埋める
しばらくそのままでいると秀吉に呼ばれるが、何故か返事が出来ない。
寝たふりを決め込むと、一度だけ頭に口付けされ秀吉も眠りにつく
飛鳥はなかなか眠りにつけなかった…
抱き締められたまま、答えなんて出ないのに考えてしまう。
空が白み始める頃やっと眠りについた…