第30章 最愛の人〜秀吉〜
湯殿から出て部屋に戻ると秀吉は何かを考えてる様でぼぉっとしていた。
飛鳥にはわかる
きっと…月華さんの事を考えてる…
どんな経緯があったかは知らない。
でも忘れがたい相手だったのだろう…
月華を見る目が他の女の子と違ってた…
秀吉が月華を見る目も…
秀吉と恋仲になってしばらく経ったが、恋仲だと知ってるのは安土城の中の人だけ…
外では織田家ゆかりの姫君として…
それは飛鳥に危害が及ばない様にする為の、信長の優しい配慮
だから秀吉が何も知らない女の子達に囲まれても仕方がないし、飛鳥には跳ね除ける事は出来なかった…
わかっている。
飛鳥との仲を隠すのは大切に思ってくれているから…
だけど…月華の存在に不安が湧かないわけではない。
今まさに、物思いにふける秀吉を見つめて不安にならないはずがない…
あの人は誰なの…?
あの人と何があったの…?
あの人と恋仲だったの…?
秀吉には聞けない言葉が飛鳥の頭の中をグルグル回る…
とてもキレイな人だった。
隣に並んだ月華と秀吉は凄くお似合いだった。
美男美女…その言葉がぴったりだった。
敵わない…
きっと月華と争う事になったら、私は敵わない…