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虹に向かって

第11章 本当の目覚め



まぶしくて、懐かしい感じがする。

「直三、朝メシだよ」

7才位の男の子が腕を引っ張り無理矢理自分を起こした。


「なっ‼」
起き上がってびっくりした。家は木でできた古い家で
いろりがあり、よくみれば自分を起こした子供は
着物の様な服を着ていた。



「食べようよ‼今日は直三がとってきた魚の干物だよ」


「直三?」家を見渡して直三と呼ばれた人を探す。



「なに寝ぼけてるー‼」
けたたましい、老婆の声が後ろからした。手には刈り取ったであろうネギとカマが握られていた。


「ひっ‼」


「ひ‼じゃない‼ こんな時間に起きておまえは
どこの殿様だい?‼」

カマを持った老婆がこちらに座れというので
大人しく座ろうとした。


「背っ背が伸びてる‼」たちあがるとやけに
視界が高かった。

「ばか‼男だったらそんなもんだ‼せん太じゃあるまいし、もう背なんか伸びないよ‼」


男?


先程からの股の違和感を手で確認すると …確かにないはずの物がついていて
 

自分は男でまちがいなさそうだ。




「ばあちゃん、怒りすぎ。キャハハハ。」
せん太らしき子供は、朗らかに笑った。


老婆は自分の母親のようで
せん太とともに山に山菜取りに行くように言われ

まだ薄暗い山にせん太と来ていた。


「直三のお陰で寂しくないんだ」
改めてと頼んでせん太の身の上を聞く。
そうだ‼せん太は戦で両親とはぐれて今うちで世話をしてるんだ。



なんで忘れてたんだろう。俺が母さんに頼み込んでせん太をあずかったんだ。


せん太のお陰で俺はまともに百姓するようになったんだ。 千長様の戦では参加もせず風呂にかくれてたんだ。

俺が隠れてた戦でせん太が両親とはぐれたと
聞いて後悔したんだ。


「せん太はいつまでもウチにいていいんだぞ」



「ありがとう‼」せん太は子供らしくニカっと
笑い そんなせん太が直三の気力の源になっていた。




それから日々一生懸命百姓仕事をし、せん太の相手も出来る限りした。


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