第5章 崩壊
Oside
すごく…久しぶりな気がする。
実際は1週間くらいなんだろうけど。
ニノと一切口を利かなかった間はとてつもなく長く感じられた。
本当に全く話さなかったわけじゃない。
仕事場、松潤の病室、翔くんや相葉ちゃんの前では話すし、本当にいつも通りだった。
…ただ、それ以外で。
俺は徹底的に避けられた。
ニノが…何年、何十年と想い続けてきたニノが。俺と同じ気持ちでいてくれたこと…涙が出るほど嬉しかった。
こんなに幸せでいいのかなって。
これ以上の幸せはないって。
…あの日までは。
どんなに電話をしても、メールをしても、一度も返事が返ってくることはなかった。
2人だけの時、どんなに呼びかけても…すぐに消えてしまう。
最後に交わした言葉は、和を腕に抱いていたあの幸せな朝の数時間後、消えるような声で呟かれた、
『ごめんね。』
それだけ。
…それなのに今日、突然家にきたニノ。
向かいあって座っているのにどちらも言葉を発さない。
喉がカラカラで、張り付いているような感じがする。
…口が縫い付けられたように動かない。
怖くて、苦しくて…
何を話したって最悪の最後にしか繋がらないって分かってるから。