第2章 甘くて苦い
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「ニノ、行くぞ。」
「あっ、うん…ちょ、潤くん、自分で持てるってば!」
「いーから早く靴はけって」
既に準備を終えた潤くんはいつの間にか俺のちっちゃいバックまで持ってくれちゃってて。
…本当に、紳士すぎますよ。俺のカレシは。
「もう…んじゃ、みんなお疲れ〜。」
「お疲れ。」
「またねニノ!松潤!」
「バイバーイ!」
「…おつかれぇ〜。」
パッと振り返りざま、どうしても癖みたいにチラッと見てしまったあの人。
当たり前だけど、笑ってヒラヒラと手なんか振りながら、俺らに優しい笑顔を向けてる。
…そりゃそうだ。別にメンバーの内の2人がただ一緒に帰りがけ、飯でも食いにいこうってだけなんだから。
あの人が気にすることなんて、一つもない。
なのに理不尽にも俺の胸は、ギュッと掴まれたかのように痛んだ。
…一ヶ月前のあの日、潤くんの告白を受け入れた俺。
それから今日まで俺たちは絶賛「お試し期間」中だった。