【名探偵コナン】生まれ変わったら新一の姉でした。2
第9章 〜ジョディの追憶とお花見の罠〜
それは、端が少し折られたコースターだった。そこには『逃げろ。このエリアは危険だ』と書かれている
ジョディ「(これって、あのデパートジャックの時の…。あの火傷の彼がシュウじゃないのなら…これはいったい誰が…なんのために…)」
コナン「(ごめんね、ジョディ捜査官…)」
困惑した眼差しでコースターを見つめるジョディに、コナンは小さく笑いながら謝った。
その様子を隣からジッと見ていた椎奈は、突然大げさに「はあ〜…」とため息をついた。すると全員の視線が彼女に集まるが、しかし気にした風もなく彼女は背を向けてさっさと歩き出す
椎奈「じゃあ無事に事件も解決したみたいだし…。私もそろそろ帰るますね」
歩美「え〜! もう帰っちゃうの?」
光彦「たしかにもう夕方ですけど…」
椎奈「ええ。またどっかで会おうね」
残念がる子供達に後手に手を振りながら、そう言った彼女は振り返ることなく桜並木の道を歩いていく。
ジョディは風で散る桜吹雪とその後ろ姿を目を細めて見ながら、ふと思った
ジョディ「(…もしかしたら彼女なら、このコースターについて何か知ってるかもしれない…。いいえ、それだけでなく、この先起こりうることも、大体は把握しているはず…。なのに…なのに彼女は…!!)」
ジョディは、徐々に湧き出てきた怒りに両手をギュッと握りしめ、キッと椎奈の背中を睨みつける
ジョディ「(未来を知っていながら…。他の人間は助けたのに、どうしてシュウを助けてくれなかったのよ?!)」
───この時、ジョディは知らなかったのである。
来葉峠の事件の真相を…。
その一部を知らないうちに組織の人間に知られていることを…。
椎奈がその件に関わらなかった大切な理由を…。
そして、それが原因で、無駄な争いを生むことになることを───