第7章 〜甘く冷たい宅配便〜

鳴き声の出所を探すと、荷物の隙間に大尉くんはいた


歩美「あ!」

灰原「いた!」

元太「まったく人騒がせな猫だぜ…」

光彦「ホントですね…」


見つかって嬉しそうな女子とは別で、元太くんと光彦くんの顔はげっそりしていた。「さぁ、行くぞ」とコナンくんが促すのと同時に、少しだけ開いていたコンテナの扉のそばに人がたった


?1「ったく…。また扉開けっ放しじゃねぇか!」

?2「ああ、悪ぃ…」

?1「気ぃつけろよ」


服装からして、このトラックの宅配業者だろうか。
彼らはそんな少ない会話の後に、私たちに気づかないまま扉をバタンっと閉め、おまけに施錠までしてしまった


椎奈「あ、ちょっと…?! すいませーん!!」


慌てて扉に駆け寄った私は、できる限りの大声で外に叫ぶ。
しかし、そんな声も虚しくトラックにエンジンがかかり、そのままこのトラックは出発してしまった


全員「「?!!」」

光彦「僕たちに気づかずに発進しちゃいました!!」

元太「ヤベェじゃねぇか!」

歩美「歩美たちも凍っちゃうの?!」


子供達がパニックになってそんな話をしていると、「大丈夫だよ」と落ち着いたコナンくんの声がしてそちらを見た

彼は腕時計のライトを使って配達物に付いた紙を見ている


コナン「本日指定の未配達の荷物がまだこんなにあるからな」

椎奈「じゃあ次に業者の人が扉を開けたら出してもらいましょうか」


子供達が一様にホッと安堵した






＊

しばらくトラックに揺られながら狭いコンテナで過ごしていると、トラックがついに止まった


元太「あ、止まったぞ!」

光彦「きっとあの人たちびっくりですね! 中から僕たちが出てきたら!」

歩美「でも怒られちゃうね」

椎奈「まぁ、わけあってのことだし。正直に理由を話せば…」

灰原「ダメ!!!」


反省よりも業者の驚く様が楽しみで仕方ない様子の子供達に私が声をかけると、それを遮って哀ちゃんが待ったをかけた

哀ちゃんは私たちに見えないよう荷物の陰に隠れていた


灰原「今出てったら、許さないわよ?!」

光彦「は、灰原さん?」

コナン「ん?」


コナンがどういうことかと腕時計のライトを点け哀ちゃんを照らした。すると、哀ちゃんは下着だけの姿でその場に座り込んでいた