第2章 会いに行くから、お姉ちゃん。
…その頃。真選組土方十四郎、沖田総悟は昼の見廻りに出ているところだった。
「なんでまた今日はこんなに暑いんだよ...」
「土方さんも隊服クールビズにしてやりやしょうかィ?」
そう言いながら沖田は土方の肩目掛けて刀を振り下ろす。
土方は間一髪で避けて、悔しそうな顔を隠しきれない沖田と睨み合った。
「この下りだいぶ前にやっただろ!腕ごと持ってかれるわ!!」
「まァまァ。俺は土方さんのためをおもってやったんでさァ。あんまり怒らないでくだせェ。」
土方ははぁと大きくため息をついた。
そしてそのまま顔を上げると土方は目を丸くする。
「おい総悟、あれって...」
「どうしました土方コノヤロー。ついに幻覚でも見えるようになりやしたかィ...ってあれは。」
2人が見つめる先には傘を差した女と動物型の天人がメンチを切っているところだった。
土方と沖田は思わず顔を合わせる。
「あれってチャイナじゃないですよねェ。」
見知っている万事屋の神楽と同じような服装に同じような傘。雨でもないのに傘を差す女は、出で立ちこそ似ているが神楽より背も高く振り向くと髪や目も黒い。
「いや確かに雰囲気はそっくりだが、あんな感じじゃねぇだろ。つかそれより、あれどう考えても喧嘩ふっかけに行ってるよな?一触即発な雰囲気醸し出してるよな?」
睨み合う2人の天人は周りの人間も見ないふりをされているほどに苛立ちオーラを放っている。
「とりあえず話しかけて見まさァ。怪しいんで。」
それに色んな意味で心配そうな土方は声をかけた。
「おっ...おい総悟、万事屋と関係ねェやつだったらどうするんだよ。それよりあの喧嘩どうにかしねぇとだろどう考えても。」
「友達作りは最初が肝心ですぜィ土方さん。何も話題がなくても何とか雰囲気で誤魔化せるんでさァ。要は勢いですぜィ」
「いや誰が友達居ねェやつだ。ふざけてんじゃねぇぞ!天人に関わるとロクな事にならねェぞ…。
まぁ…。ッチ…ったく、職務質問だからな。職務質問として聞きに行くだけだからな。」
「へいへい土方コノヤロー。あんまり女子と喋るからって出しゃばってると恋人も友達もできませんぜィ。」
「だから照れ隠しで誤魔化してるとかじゃねぇんだよ!オイ!総悟!!」