第2章 会いに行くから、お姉ちゃん。
ネズミ達はどうやら路地を抜け、大通りの方へと向かっているようだった。
大通りの方は非常用の電力装置が動き、本当に微かではあるがポツンポツンと明かりが付いていて、人々や町の様子も分かるようになっていた。
そして分かった様子は2人が想像していたよりもはるかに凄まじいものだった。
『なんじゃこりゃ……。』
非常用電力装置の少ない電力さえも奪おうと、電柱や街頭によじ登るネズミや、店の中にある電池などの電力を奪いにかかるネズミ。挙句の果てにはそれを防ごうとしたアキバの住民達を攻撃するネズミまでいる始末だ。
どうやら、ネズミは自分の中に電力を取り込んでいるようで、取り込めば取り込むほど体は大きく、光も増していく。
住民を襲うほど凶暴化し力をつけたネズミは、次々に人々をなぎ倒し、小さな電灯の光すらも失われつつあった。
そんな光景を見て頭より先に体が動いたのは桂だった。
無差別に人を襲うネズミを容赦なく一刀両断していく。ネズミは倒れた後、血とともに流れ出した電流のようなものが、火花を散らして近くの電柱などに戻っていく。
その様子を見て加勢をする神恵。傘の銃を使ってネズミが群がっている店に銃弾を放つ。一気に倒れたネズミ達はいっせいに火花になり、その一帯だけはまた明るくなっていく。
歴戦の侍と夜兎である2人にとってはそこまで苦戦する相手ではないものの、一般市民がいる暗がりでそれも大量のネズミを捌くのはかなり時間を要した。
「流石にっ…!この数は…2人じゃ耐えきれませんね…っ!!」
傘で応戦しながらも息切れをしてきた神恵。
ネズミをなぎ倒していくが、数の暴力により全てを捌ききることができない。取り逃したネズミはまた新しい電力を求めてどんどんアキバの各地に広がっていくようだった。
「直に俺の仲間も騒ぎに気づいて来るとは思うが…。このままだと身が持たん…な。」
刀1本でネズミに応戦する桂。人よりも小さいネズミは、言うならば的が小さくなったようなもので、幾分か斬りづらい。
例によって市民に影響しないよう神経を使う為、さすがに息も切れてきた。
しかし、ここで折れてしまえば何も出来ないままアキバが闇に飲まれてしまう。2人はただひたすら目の前のネズミを斬るだけだった。