第2章 会いに行くから、お姉ちゃん。
「なんでもいいですけど、早く来ないとほんとに神楽さんに嫌われちゃいますよ〜。何してるんですか…。」
今度は本当に呆れ返ったように電話口に話す瑠樺を尻目に同じく呆れ返った神楽はため息をついた。それにしても激しい剣幕である神恵の電話に銀時と新八はただならぬ雰囲気を感じた。
『緊急なの!!!今アキバに来てるんだけど停電でっ!突然この光るドブネズミに追いかけられてるの!!なんなのこれ!?』
「ほんとに何言って…」
瑠樺が言いかけたところに先程までドラマの再放送をしていたテレビが唐突に切り替わり、ニュースキャスターが映った。
【ドラマの途中ですが緊急ニュースをお伝え致します。地下都市アキバが大規模停電を起こし、住民らは大混乱に陥っています。現場からは謎の電気を帯びた生物が蔓延っているという情報もあり、警察が捜査を進めています。】
中継の映像には確かに光を帯びた大きなネズミのような生物がアキバの路地を走り回っており、人々は逃げ惑っている。ネズミは人に襲いかかると人は痺れたように倒れてしまっている映像まで流れ、慌ててカメラは別視点に切り替わっていく。
そのカットの一つに映ったのは傘でネズミに応戦しながら片手に携帯をもち何かを叫ぶ神恵と、その後ろには意外な人物が剣を奮っていた。
「おいこれって…ヅラァァァァァ!?!?!」
銀時は思わず声を上げる。確かに地下都市アキバはその土地柄ゆえ攘夷志士たちの隠れ家になっていると言う話もあったが、なぜこの2人が一緒にいるのか。
『ヅラじゃない!!桂だ!!!む!その声は銀時!神恵殿、銀時とも知り合いなのか?』
銀時の声が瑠樺の携帯から神恵の携帯に届いたのか桂は反応を示した。
テレビで桂と神恵が話す様子は写っているが声は受話器越しに聞こえるというなんとも不思議な光景になっている。
「え?!銀時?!誰それ?!そんなことより瑠樺!とにかくこのネズミがなんなのか調べてくれない!?アキバの住民は私が守るから!とにかく情報を早く!!」
ネズミといえどそこそこの大きさがあり、1匹退治するにもなかなかの労力がいるようで、テレビ画面越しに見える神恵と桂の行きはたえだえであった。
何故こんな状況になってしまったのか。それは今朝にまで遡る…。