第30章 ゲームクリア
松野『ふむふむ。確かにそうなると遅くなりますね』
ヒースクリフ『その行動に移るまでの時間差を『タイムラグ』という。
だが、そのような状況が何度も続けば
自然と寒いと頭で考えるよりも先に、ストーブを付けようとするだろう?』
松野『はい!経験ですね!』
ヒースクリフ『ああ、そうだね。
どう攻撃されるか、どう防御されるか、どうすれば打開できるか。
最初こそ誰もが自然と考えるだろう。
だが似たような状況が何度も続けば、この対処法はこうだと早く気付く』
松野『つまりを言うと、それらが反射の域にまで達したと?』
ヒースクリフ『頷)うむ。
ふふっ、非常に興味深い。
そのような達人ほどに至るまで、どれほどの修練を積んだのだろう…もはや5000年など軽く超えてしまうかもしれない』
松野『なるほど、早くに光を身に付けていたからこそ経験が非常に多過ぎたと』
ヒースクリフ『うむ。
先程のストーブのそれと同じ感覚で、彼女達も行っているのだろう。
経験として、何度も何度も行う。
変わった受け取り方から返し方まで、全てを何度も何度もし続けている。
何度も何度もそうすることで
攻撃や防御への対処法の選択肢が増える、咄嗟に出せる行動までもが速くなる、
その刹那の短い時間の間にできる範囲が拡がる。
その内、脳を通過しなくても咄嗟に防げるように、避けれるように、動けるようにまでなる。
だからこそ、彼女達はある域に達した。
要するに…それこそが脳を介さない、全身が一つのセンサーであり、頭脳であり、一つという存在なのだよ。
僅かな気配、僅かな動き、全体の動き、空気の流れ、僅かな変化
それらを、一つの呼吸としてとらえて、最善となる行動を起こす。
たとえそれが光速であろうとも、決して揺るがないそれと化す。
それこそが、彼女達、達人を超えた域なのだと私は思う。
だからこそ、非常に興味深い存在だと捉えているのだよ』微笑
微笑みながら語る彼の声は楽し気に弾んでおり、周囲はその事実と私達の戦いのレベルの高さに驚くばかりでした。