第5章 開拓者
それからは、いたって平穏な月日が流れていった…
2月15日、第12層ボスクリア。
その当時、ケイトからチョコを山ほどたくさんもらった。
その時期のケイトは、農耕スキルを得た人たち・得たい人たち、雑貨屋を営む人たちに
料理で必要となる材料を売ってもらうことを頼み込んでいた。
そしてコルが足りなくて宿に泊まれず食べれない人たちに
色んな職を紹介しつつ合ったものを薦め、食堂に泊めるなどしていた。
終いにはケイトが自費で大きな建物を買って、無料で泊まれる場所を提供した。
一室ずつで部屋は分けており、泊まることを登録した人以外は入れないようセッティングしたらしい。
結晶の類が使えないようにもしており、その理由は回廊結晶で寝てる間にモンスターがいる場所へ転移させられないようにするためだそうだ。
泊める条件は、ここでちゃんと生きること。
やりたいことやって、楽しんで、死なないこと、プレイヤーを殺さないことだった。
『リアルと何が違うの?
いつ死ぬかわかんないのは、どっちも同じでしょ?
それよりもさ…せっかく来たんだ。
楽しんで、やりたいことやって、ちゃんと生きよう!^^
もちろん人を殺すとかはダメだけどね♪』
宿に閉じこもる人達へ、一軒一軒回って料理を配りながら言う、そのケイトの言葉に
あるものはその通りだと奮起し
またあるものは怒って拒絶したが、空腹感からその料理を食べ、その温かみに触れたことで涙を流すものが数多くいたわけで…
その自殺や引きこもりを止められた人達は
そろって料理人になったり、農耕スキルで支えてくれたり、狩りで材料を稼いでくれたりなどなどで
食堂における、常日頃の料理提供が成り立つのを助けてくれる。
最近、ケイトは音楽が好きな人と出会ったらしく
音楽が好きな人を集めてユニットを結成したり、ライブを始めたり
懐かしい曲を歌ったり、録音結晶で録音したものを100コルで配布したり
色んな曲の情報を集めたり、聞きたい曲ランキングを作ったり
終いには、音声抜きのミュージックのみを録音結晶で録音し、押された番号のそれが再生されるという『カラオケボックス』を作り上げた。
それからのケイトの行動によって、ますます現実世界に近付いていった。