第29章 遭遇
~おまけ~
・ミーすけ談
生まれてから1年半が経った。名前はまだない。
生まれたばかりの頃は、周囲に居たモンスターは滅茶苦茶強く感じた。
でもお母様ほどじゃなかった。
修業を付けてもらう内、周囲のモンスターは段々と弱く感じた。
話し相手がお母様しかいなくて、退屈で仕方なかった。
街のようなものを見つけた。NPCの警備員が襲い掛かってきた。
遊び相手になってくれるのかと思って、それを喜ばしく思いながらはしゃいで襲い掛かったら、簡単に潰れてしまった。
つまらない。
色んな場所を全て回ってみたけど、気付けば誰もが僕よりも弱かった。
階層の中をうろうろと回っている内、一番でかい街を見つけた。
入ってみたら攻撃されたけど、全然弱かったから蹴散らした。
ここ最近レベルが上がったお知らせがないけど、何でだろう?
その街の中で、不思議な小さな塔のようなものを中心とした広場を見つけた。
NPCの人達の話を聞くと、それは転移門というらしい。
いつかそこから近い扉から出てくると聞いて、僕は待つことを決めた。
そうして待っている内、扉が開いて程なくして強そうな人がぶつかってきた。
『?遊びたいのか?』
警戒するでもなく、そう快活に笑いながら声をかけられた。
僕の意思を読み取ってくれたようで、それがあまりに嬉しくって
その勢いのまま噛み付いて攻撃しようとした。
普通の相手だったら、あまりにも一瞬らしくて誰も手も足も出なかった。
はずなんだけど…
それ以上の速度で放たれた一発で、HPのほとんどが吹き飛んだ。
一瞬、何が起きたのかわからなかった。
残り3割しか残っていない、真っ赤なHPバーを前にして…
不思議と僕はその人について行きたいと思った。
『主従契約を結びますか?』
そんなメッセージが僕の目の前に現れた時、僕はもちろん○と念じた。
すると、その強い人に『30秒以内に名を決めて下さい』とのメッセージが出た。
そうして僕の名前がようやく決まった。
ご主人様の傍は、お母様の傍のように居心地がよかった。
ちゃんと目を合わせて話を聞こうとしてくれたから、とても嬉しかったんだ♪
ケイト「って言ってる」
『マジで!?;』
ミーすけ「うぉん♪」頷
その翻訳を聞いた時、皆が愕然としたのは言うまでもない。