第5章 開拓者
全方位からの攻撃を一切受け付けないほどの猛攻…
その様はまさに、攻防一体――
それから30秒ほどの静寂が過ぎた後、歓声が上がった。
キリト「まるで犬の穴掘りみたいだな」
ケイト「え?ああ…確かに掘る感じだよね」
クライン「で?具体的にはどういう動きなんだ?」
ケイト「えっと…
まずは左短剣で突き刺すでしょ?」
クライン「ふんふん」
ケイト「それから左短剣で左後ろまで斬り払う。
それと同時進行に、右短剣で自身から見てボスの右横から「突き刺した場所」まで斬り裂く。
そして右短剣を引き抜きながら、さっき言ったのと同じ手順で
右短剣で突き刺して右後ろまで斬り払う。
それと同時進行に、左短剣で自身から見てボスの左横から「突き刺した場所」まで斬り裂く。
そして再び左短剣を引き抜きながら突き刺して…
って感じで、交互に続けていくんだ」
実際にゆっくりとやりながら説明された。
だが、それはある動きに似ていたわけで……
クライン「ワイパーに似てるな」
ケイト「ワイパー?」首傾
クライン「車の。
雨降った時にフロントガラスについた水払うあれ」
ケイト「………
!!!!!!!!!!」がーん!!!!
がくっ!
その瞬間、ケイトは跪いてそのまま倒れ伏した。
ケイト「そんな…単純な;」しくしく
そういった例えを思いつかなかったらしく
具体的な動きのイメージが合わない上に掴みづらく、そのスキルの動きに合わせるのに非常に苦労していたそうだ。
その後、異常なまでに怒涛連斬の動きが円滑になった。
僅か一瞬で終えるほどに、その速さは鍛え上げられたという。