第29章 遭遇
ユイの想い出した記憶をボスを倒した後で、安全エリアにて教わった。
SAOは“カーディナル”という巨大なシステムに支配されている。
その中で、プレイヤーのメンタルケアを行うプログラム、コードネーム“ユイ”…そのAIが自分だと言う。
2年前、正式サービスが始まった日にカーディナルは、何故かユイにプレイヤーへの干渉を禁じた。
やむなく、ユイはプレイヤーのメンタル状態のモニタリングだけを続けた。
負の感情に支配されていく多くのプレイヤー。
その人達を助けられないという事実が、ユイにエラーを蓄積させ崩壊させて『いこうとしていた』。
そんな中、ユイは目の前の変化を見つけたという。
喜び、安らぎ、それだけじゃない感情…
それらが伝染し合い、拡がり、たくさんの人とちゃんと向き合おうとする存在。
それらが刺激し合って、幸せそうな、楽しそうな…不思議な感情に包まれていった。
そんな所に行きたい、近づきたいと思い
ユイが必死に動いた所、たまたまそこから抜け落ちたのだという。
ユイ「おかしいですよね、そんなこと思えるはずないのに…
私、ただのプログラムなのに」
キリト「ユイはもう、システムに操られるだけのプログラムじゃない。
だから、自分の望みを言葉にできるはずだよ」
ユイ「私は…私は…
ずっと一緒にいたいです…パパ!ママ!」涙&両手を二人へ向けて差し伸ばす
アスナ「ずっと、ずっと一緒だよ、ユイちゃん」ぎゅうっ
キリト「ああ、ユイは俺達の子供だ」ぎゅうっ
泣きながら懇願するユイをアスナが抱き締め、俺はアスナごとユイを抱き締めた。
それから後、先程ボスと俺達の間にユイが入った理由は
安全エリアにあるGMが緊急用に使うコンソールを使って、先程のモンスターを消去する為だったらしい。
だがそれと同時に、自分のプログラムもチェックされているという。
異物となった自分はすぐに消去されるだろうと。
でも、先程のケイトの介入のお陰でその危険性はなくなったのだと――