第27章 休息
クレハ「その件はそれで終わりです。
それは今に持ち越していいものではないし、『犯罪者』という名のレッテルがつくのは彼等いじめっ子以外に他ありません。
その当時の自分が『歩み寄ろうとしなかった行動』を棚上げし、人の人生や価値観を大いに歪めるほど『いじめ』という行為をし続けたのですから。
そもそも理解しようともしなかった人が、今更どうやっていじめられっ子を責めようというのでしょうね。
それこそ理解に苦しみます」
ケイト「あのさ…納得してないのは、いじめっ子の件じゃないんだ。
それを平気でやっていられる態度が、どうしても理解できないんだ。
それをやっている時、平気に、楽しそうに笑ってたから。
それがなんでなんだろうって、それだけがどうしても割り切れなくって」
クレハ「それは…
気の食わない相手だから、嫌な想いをしているのを見て、傷付くのを見て楽しんでいたんじゃないんですか?
私もまたいじめられていましたが…
いじめっ子達の件があって学校を辞めた後、例年あった学校への寄付自体が無くなり大慌て。
後になってから必死に学校側が取り繕おうとする様を見て、幼いながらに『ざまあみろ』とほくそ笑んでしまいました。
それと同じでしょう」
そう言いながら、私は右手でケイトの後頭部を撫でました。
ケイト「う~ん…なんか可哀想;」
クレハ「同情は不要です。
特に、彼等のような自己しか顧みない『勝手な自己中人間』など(溜息)
少なくとも、私のような態度を取ることが普通ですからね?」
ケイト「なら普通じゃなくていいや」
クレハ「え?」
そのあっけらかんとした言葉に、私は唖然とした。
ケイト「だって…それで必要以上に責めたって、その時間は返ってこないんだもの。
だから、それを一々気にしてたり気負った所で、何かを求めた所でそれが返ってくることはないんだろうなって…
でも、クレハの言葉のお陰でやっとわかったよ。
ありがとう^^」
その笑みはどこかさっぱりとしていて、嬉しそうだった。
それを見た時、私は理解しました。
何故今の今までそれを気負い続けていたのかを。
意図がわからないまま、ずっと傷付けられ続けてきた。
だからこそ、そう思い込むしかなかった。
どういう心境だったのか、それだけが理解できなかったからこそ流せなかったのだと――