第27章 休息
クレハ「その上で問いましょう。
あなたは、どうしたいのですか?
『自分が傷付かないと誰も喜ばない』
そう言い聞かせてくるのは何ですか?」
ケイト「…それは…昔の」
クレハ「そうです。今はもう昔のことです」きっぱり
そうはっきりと言う中、彼女は頷いた。
クレハ「いいですか?
よく考えて下さい。
アスナやキリトやクライン達は、あなたが死に掛けた時にどうしていましたか?」
ケイト「…泣いてた。
もう嫌だって、自殺しようとした時…泣いて、くれた」涙目←涙と決意章,210ページ以降参照
クレハ「ええ。私も同じです。
初恋を終えたあなたがクラインに惹かれる前、彼と付き合うよりも随分前
死にたいと言った時に泣いていたでしょう?」
ケイト「うん。
クレハが止めてくれなきゃ、危なかった」ぐすっ
クレハ「それと同じなんです。
その昔、あなたの同級生等はそれを望んだ。
『学校に来たら殺す』とまで言うほど、何度も何度も…
彼等にとっては冗談であっても、あなたにとっては過激なDVが日常となっていたのもあって、余計に傷付いたでしょう。
ですが、今は全くもって違う。
むしろ、今の環境の方が『普通』なんです。
あれらの方が異常で、それを平気でしていられる方が犯罪者です。
人としても何よりも、その傷付けたとしても痛まない心が。
だから、その彼等が故の常識に、過去にとらわれないで」
ケイト「……でも、それは私が悪かったからで」
クレハ「でもじゃありません。
彼等なりの正義が『人を傷付けて心を痛めぬもの』なら、それが毎日あったとしてもなお『仕返しをしなかった』あなたの方にこそ分があります。
仕返しをしようと何度も願っても、あなたはそれで傷付くだろう相手のことを痛んで踏みとどまり続けたのですから」
それでもケイトは、納得していないようにも見えた。