第27章 休息
両膝を地に付けて跪いたまま
絶望に沈んだような表情で、どこまでも暗い影を落としていた。
その当時の光景が、ありありと私に伝えてきた。
『全部自分が悪いんだ』と、刷り込まれたことによって今まで生きてきたのだと。
なるほど…
どうやら、彼女特有の『霊感』というフルダイブ不適合は
このような意思伝達も可能らしいですね。
25層攻略時でも見えましたが、現実で持つ霊感が何らかの影響を及ぼしたのでしょう。
そう推測を立てる中、ケイトは涙ながらに呟いた。
ケイト「そんなっ…今、さら…何でっ;」
ひっくと、しゃっくりを上げる音が響く中
ボロボロと涙が机へと落ちていった。
クレハ「…」
その光景に、私は眉間に皺を寄せた。
彼等がした行為は、特殊な事情は…ここまでに人格を歪めたのかと。
彼女が異様に助けようとする理由も、それに伴って分かった。
助けられない側の気持ちがわかるから、絶望を知るから、どうあっても助けたいと躍起になるのだと。
確かに…あれほどのことがあれば、どれほどきつくともそれ以上にきついものなどないと言い聞かせるのは必至。
たとえそれが無意識であれ、それがあったからこそここまで無茶をするようになった。
それを無茶だと思わず、それ以上に辛いことなどないとでも言うかのように…
その片鱗を見た私は、そこに至るまで追い込んだ彼等を怨むより
彼女を、普通の人のように振る舞えるようにしたいと心から思った。
あの優しさもきっと、そういう目に遭ってきたからというのもあるでしょう。
ですが、その痛みを知るからこそ与えたくないと考える『性格』だからこそ、仕返しが出来なかった。
私のきつい物言いの中に優しさを見抜いてくれたのも、きっと…
そういった有無も言わさぬ仕打ちを受け続けていたからに他ならないでしょう。
そう考えを纏めた後、私は一人で背負うものではないと伝える為に行動に移した。