第26章 攻略再開
だから泣いてる理由なんてわからない。
わかれと言われても、本当に難しい。
人がそんな状態だったら心配になるけれど
私の場合だと、そんなことがないのは普通だから、それそのもの自体が吉報そのものなのだろうから。
そうでなければ包帯で血まみれ状態でも登校するそれを笑ったりなんてしない。
クレハ「…確かに本気の眼ですね。
でも、違うんです。逆だったら?考えてもみて下さい。
私が急にふらついて倒れて、連絡も何も取れないまま
身体が身じろぎもないまま呼吸も浅く、意識がずっと無くて
いくら揺すっても起きなくて、どれだけ叫んでも起きなくて…
そんな状態で…(ぷるぷる)
そんな状態でっ;;
何をどう喜べというんですか!!!?;;」
涙ながらに、そう叫んでから私にかけられてある布団ごと上に覆いかぶさって
慟哭をあげて泣き叫び出した。
クレハ「ああああああああああああああああああああああああああっ;;;」
きっと、死ぬほど心配したんだろう。
逆だったら…うん、考えたらわかる。
でも、どうしてもこれだけがわからない。
何で、そんなに辛く、苦しそうなのか……
胸の上で泣きじゃくるクレハの頭を撫でながら、私の目には自然と涙が滲んでいた。
きっと、当時の私はそんな風に、自分のことのように心配してくれる人が欲しかったのだと思う。
けれど…
もう、遅過ぎたのかもしれない。
ケイト「ごめん…
私という枠組みがある限り、きっとわからないままだ。
どうしても…消えてくれない。
あの日の光景が、嘲笑う声が消えない。
おかしいものを見るかのような眼が、その感触が消えてくれない」
クレハ「!」
ケイト「ごめんね、クレハ…
私は、どうやったって私が傷付くことは心底どうでもいい。
この根底を覆しちゃったら、きっと…
私は、死んでしまう。
それまでが、傷付けられて殺されかけるのが普通だったから。
どれだけ泣かれても、わからないんだよ」
眉が自然とひそみながらも、辛うじて出した言葉。
その言葉に、クレハはより一層目を大きく見開いた。