第26章 攻略再開
傷付いてボロボロになった時のように、身体が思うように動かなかった。
気付けばベッドの上だった。
仰向けのまま、動かすこともできないまま
ベッドの左側に椅子を付け、泣き崩れているクレハがいた。
?泣いてる?
あ、そっか。
ケイト「嬉しい?」
クレハ「!?」
ケイト「喜んでるんだよね。よかった^^」
クレハ「そんなわけがないでしょう!!!!!!!!!!」
ケイト「??え?何で?」
クレハ「どれだけ心配したと思っているんですか!!?
あなたは丸三日…ずっと目を覚まさなくてっ;」
そう震えた声で、しゃっくりを上げながら叫ばれた。
いつもすました顔のクレハが、泣き叫んでいた。
そのことに、驚きしか感じなかった。
ケイト「え?
当て逃げの時、包帯まみれで喜ばれたのに何で?」
クレハ「あなたはまだそんなことを言ってるのですか!?」
ケイト「だって…あの時、皆嬉しそうに笑ってたよ?
あ、でも5限目までさぼってずるいって言われたっけ;
それで怒ってるの?」
クレハ「そんなわけがないでしょう!!!!!!!!!!」
ケイト「何で…そんなに怒ってるの?
そんなに悲しそうに、泣きじゃくってるの?」
クレハ「…知っていますか?」
ケイト「?何を?」
クレハ「急に倒れた人は、永久にログアウトすることが多いんです。
リアルの身体に何かあって、それで死ぬ人の方が大半を占めます。
あなたのように、過労で倒れて意識がなくなったままだということはないんです。普通なら」
ケイト「?それが何?」
クレハ「だから!!
あなたが死にそうになったんじゃないかと、不安に!!;」
ケイト「何で?死にそうになったら喜ぶべき」
クレハ「本気で言っているんですか!!?」
ケイト「うん」真顔
その言葉に、嘘偽りはなかった。
当て逃げで死に掛けた。
それが最後のSOSだった。
包帯まみれの姿を見せれば、学校に行きたくはなかったがそのつもりで行った。
でも彼等は笑っていた。楽しそうに笑った。嘘だと笑い飛ばす姿勢を変えぬまま。
それそのものが喜ばしいことだと言うように笑っていた。
それ時の光景が…
私が最初に絶望した、人生の中で一番記憶に奥深く残ってるものだった。