第26章 攻略再開
なるほど。負い目を感じていたのですね。
ただでさえ色々とやることが多い。
それをさらに増やしてしまい、疲弊する相手を増やしてしまった。
それだけでなく、新たな問題まで勃発する有様…
それの取り締まり方から対応策まで打ち立てねばいけなくなり、それそのものに責任を感じていると……
彼女らしい悩みですね。
でも、それで自分を責めるのは間違い。
一番責任を持つべきなのは、そのような手法を取った者にあります。
そこまで自分を追い詰めるよりも伝えなければ…
その想いを胸に、私はケイトへと自分の考えを口に告げました。
クレハ「ケイト、それは違います」
ケイト「え?」
クレハ「あなたが謝る問題ではありません。
第一、一番責任を持つべきなのは使い手の方です」
ケイト「でも…その一因になったのは間違いないだろう」
一度顔をあげて私を見てくれた。
でもそれは再び俯き、表情の暗さを増すばかりだった。
なので、一つたとえ話をすることにしました。
クレハ「時にケイト、ダイナマイトを知っていますか?」
ケイト「?そりゃ知ってるよ。爆発物の」
クレハ「あれは本来、トンネルを作る際の発破に使うものです。
それを作り出すことで工事側の負担を軽くしようとしたのでしょう。
ですがそれは、戦争で使われる結果にまで結びついた」
ケイト「!」
クレハ「それと同じです。
いくら発明者が平安を願って作った所で、それを使う側はそれとは無関係です。
作った本人側の意図など構わず、使い手は自分の使いたいように使います。
それと同じで、その使い方を強要するなど土台無理な話。
取り締まる側としてできることをすればいいと、私は思います。
無論、あなたに非はない。
私はそう考えます。誰が何と言ったとしても。
あなたは人を想って作った。
その事実は決して何があろうとも変わりません。
あなたが悪いことをしたわけではないのです、胸を張りなさい」
そう言い聞かせると、ケイトは苦笑交じりに言った。
『クレハは、強いな』と…
私は、その言葉の意味が解らなかった。