第25章 花見
同性婚でも、互いの遺伝子を宿した子が欲しい。
互いにとって本当の、血縁を持った子が欲しい。
どこの誰とも知らない遺伝子を宿した精子(卵子)を使うことに抵抗がある。
女性(男性)が精子(卵子)を生み出すことはできない、
それは『子を遺す』という点において、機能不全と同等。
そういった主張が集いに集い、十何年もの長い月日が経った後
ようやく人の細胞から作られたiPS細胞から、精子と卵子が作製可能となったこと、
それに加え、命の安全を保障できるぐらいに技術が進んだこと、
日本においても同性婚を認められたこともあり
『治験』として、ようやく認められるようになった。
それが2022年10月下旬に起こったとのことでした。
当時の私はお母様に世界初のVRMMOであるSAOをプレゼントする為、大会に集中し切っており
ケイトはSAOを手に入れる為に仕事を頑張ることに集中し切っており
お互い、全くもって気付くことさえもありませんでした。
ですが、私とお母様が初めて行った場所
アメリカのディズニーランドに行ってみたいと常々ケイトは語っていたので…
アメリカでの挙式を思いついたのです。
そしてあの花見の後で、クラインにもそういった事情を話しました。
本当は誰よりも愛しているのは、結ばれたいのは私だということ。
そのことは既に分かっていたようで、それでも好きだった為止めたかったとのことでした。
もともと彼は、正月を過ぎたあたりからグレイクから協力を申し出されており
それに協力した結果、先程の情報を見つけ出してグレイクへと知らせてくれたそうです。
そのお陰で、今のような事態になっているのですが…
当のケイトは狂ったように、いえ狂喜乱舞?
早い話がパニックに陥っており、状況把握さえもろくに出来ていないようでした……;