第25章 花見
しかし、調べてみるともっと前からわかっていました。
2011年8月5日では、「マウスのES細胞やiPS細胞から分化させた生殖細胞をもとに精子を作り、子孫を生み出すことに成功した!」というニュースが世界中をかけめぐりました。
「Cell」という学術誌に、京都大学の斎藤さんらの研究論文が発表されたのです。
2006年に日本人研究者がマウスの皮膚の細胞からiPS細胞をつくる技術を完成させて以来(ヒトの細胞では2007年)、
これまでに心臓の細胞、神経の細胞、すい臓の細胞など、様々な種類の細胞がiPS細胞から誕生していたようです。
米科学誌「セル・ステム・セル」のオンライン版に、2015年10月17日掲載されたものではこんなものが…
ヒトの人工多能性幹細胞(iPS細胞)から、精子や卵子のもとになる「始原生殖細胞」を効率よく作製することに、斎藤教授らのグループが成功した。
不妊症や遺伝性疾患の解明に役立つことが期待される。
そう書かれたニュースがあったようでした。
生命を生み出す技術…
それは本来やってはいけない、軽々しくしてはいけない。
そういった主張が、それまでは常に付きまとっていたそうです。
しかし、2022年における再生医療にてiPS細胞が使われているのは既に周知の事実。
将来、人間のiPS細胞から精子や卵子が作れた場合、これらを受精させれば「人の生命の萌芽」とされる受精卵になる。
受精卵を女性の子宮に移植すれば、赤ちゃんが誕生する可能性があるため、こうした研究には生命倫理上の問題がつきまとう。
そのことから2015年の時点においては、米カリフォルニア州や英国のみで『受精卵の作製』が許容されており、日本も解禁するべきだとの意見もあったそうです。
そして2022年時点において状況は変わった。
ニュースにもなっていたそうですが、当時の私達にはさほど興味もなく流していたようです。