第25章 花見
クレハ「ケイト…実はお話ししたいことがあります」
ケイト「?何?
ここの名物結構おいしいんだよ^^」にこにこ
クレハ「真剣な話です。よろしいですね?」
ケイト「?うん」
クレハ「…私とあなたは、互いにとって初恋です。
そして離れたくないというのも事実ですし、互いを想うこの愛に嘘偽りはありません。
結婚式の前に話していて、よく解りました。
あなたもそうですね?」
ケイト「当たり前じゃん」きっぱり
その話の内容については554~562ページ参照です。
その私の問いかけに、ケイトは憮然と今更何言ってるんだという顔をしていました。
クレハ「同性婚において、子孫は遺せない。
私達は昔、互いに考えましたよね?
私とケイト、双方の遺伝子を継いだ子供が欲しいと」
ケイト「うん。
でも出来ようがない。
どうやったって女性から精子は出来ないし」
クレハ「その根本的な問題から、私達は涙を呑んで結ばれないことを理解した。
そして互いの為を想って、私達は結ばれないことを選んだ。
初恋は結ばれないとはこのことかと思いました」
ケイト「うん…そうだね」俯
その言葉に悲痛な面持ちをするケイトに、私の胸は痛んだ。
でも、それを打開する技術が、方法がありました。
こと2022年においては――
クレハ「実は、その情報自体が違っているのです」
ケイト「?何が?」
クレハ「………できるそうなのです」
ケイト「え?」
クレハ「ですから、女性同士でも子供を作ることはできるのです。
遺伝子操作などではなく、iPS細胞を利用すれば」
ケイト「…ええ!!?」
iPS細胞から始原生殖細胞様細胞を作り
そこからオーガナイザー(誘導物質)によって強制的に「女性から精巣」を作り出した後、精子を取り出す。
そこから先は現状の体外受精技術を使えますので、同性カップルによる子供は、iPS細胞技術によって作ることが可能となっていた。
私達はまだ情報に疎く、グレイクに言われるまで気付けなかった。
2024年4月5日のデートの時に、その情報をプレゼントされたのです。