第25章 花見
それから後、送り届けた時に変化は訪れました。
再会を嬉しそうに夫婦は抱き合った後、急に踊り始め
それまでうっそうとし、薄暗かった森自体をその踊りから溢れ出た光で浄化していったのです。
今思えば、あの薄暗さや四季と天候の荒れ様は『彼等夫婦の不安な心』を表していたようにも思えます。
踊り終わって森が全て浄化し切った頃
その足場には《エルフの輪》という円状の線ができ
その正体は、円の中に入れば『桜の木の根元』まで一瞬で移動させられる『ワープゲート』でした。
エルフ「ありがとう、人族の子達よ。
これは心ばかりのお礼だ」微笑
そう笑って右手を差し出され、近くにいたケイトが咄嗟に左手で受け取ろうと重ねると
私達へ報酬ウィンドウが開きました。
そこにあったのは、《感謝の印》という『革製の籠手』の見た目をした『純白の防具』でした。
エルフ妻「またいつか、北の森の最果てに来てくださいね。
心からお待ちしています^^」
その言葉を言ってからエルフの夫婦が揃って礼をした後、突如現れた霧と共に消えていきました。
それから目を離し、防具の方を確認すると…
それは要求値と重さが0の上、経験値+100%、レベルアップボーナス+100%、強化数50のチート防具でした。
ケイト「モンスター殴ったらちゃんと攻撃認定されるみたい」
クライン「そりゃ体術持ってるからだろ?
あ、正確にはその最上位ユニークスキルの《神速格闘術》だったか」
キリト「凄い防具をもらったな。武器にもなるとは」
アスナ「うん。まさか防御力が丸々攻撃力にもなるなんて」
そう驚きを隠せない中、私達は揃って《感謝の印》を装備しました。
その結果、以前のマント(600ページ参照)の羽織るだけのそれもあってか
まるで騎士のようだと、その見た目に近付いたようにも感じていました。
そうして私達は円の中に入り、桜の木の根元に行ってから宴会を開きました。
そこはとても綺麗で、後光が差しており
別世界とも言えるその光景を、私達は心より堪能しました。
気付けばその温かさと心地よさに寝入っており、夕暮れまで揃って昼寝をしていました。