第25章 花見
その道中の途中で、サイレンのような警音が鳴り響きました。
クレハ「!赤ですか?」
ケイト「ああ。でも近くに警備課の人がいるから大丈夫だそうだ」
ケイトが以前作り出した『命光板(682,683ページ参照)』、
それをスマホのような形状にした『携帯命光板』を取り出しながら語りました。
その警音もその携帯のような板から出されたものです。
そしてその機能に加え、迷宮区においても連絡も取れます。
あれから約3か月経ちましたが、随分と事情があの時とは変わりました。
赤(HP半減(デュエル以外))が現れたら緊急時のサイレン警音、
黄(精神が不安定)が現れたら普通の警音といったプログラムが作られていました。
ちなみに青(HP半減(デュエル時))は警音はなく、点灯が強くなるだけです。
フォロー課のメカニック部と連携することで
「『光点の色の変化』のみに認識を置かせ、規定された『色』が現れた際、その色ごとに『警音』を変えて出すことで知らせる」
「『色が変わった板』全体が光を増すよう点灯する」というプログラムを組み込んだそうです。
そのお陰で元々階層ごとで板を変えていた為
どの階層で色が変わったかがすぐにわかるようになり
『警備課』の人達もまた、普通の人(白)とは『別の色(緑)』で示すようにもなったことから非常にやりやすくなったようで
以前と比べて、対応に関しても現われた直後から約5秒程度で、非常に迅速に対応できるようになりました。
そうして三人から急き立てられるまま走っていくと、桜の木の根元に女性のエルフがいました。
ケイト「あの、大丈夫ですか?」
エルフ妻「え、ええ。ありがとうございます」
クレハ「エルフさんがずっと入り口で待っていましたよ?行きましょう」
エルフ妻「あ!主人が?」
アスナ「ええ。北の森に住んでいるのですよね?」
エルフ妻「ええ。ここには花見に来ましたが忘れ物をしてしまって…
見つけたのだけれど戻り方が解らなくなってしまって」俯
キリト「なら決まりだな。送り届けよう」
クライン「なるほど。その後で桜を堪能できるってわけか」
そう納得する中、私達は女性のエルフを森の入口まで送り届けました。
うっそうとした森を抜け、進んできた方向と逆に進んでから十数分後
ようやく私達は辿り着きました。