第24章 誕生日とエイプリルフール
ケイト「で、言葉が出せないぐらいに痛めつけられてたから余計に言えなかった。
少なくともきっと、当時の自分はそれにさえも気付けなかった。
余裕がなかったから、視野が狭かったから、周りが見えていなかった。
当時の環境のせいもある。それを訴えかけたけど否定されたのは事実だ。
でも勉強だけは頑張ってた。
それだけは、私を受け入れてくれてたから。
先生とは話せているのは、いじめてきたのが生徒で年が近いだったからだ。
同級生と話すとなると、いつも緊張する。
いじめられるんじゃないかってびくびくする。PTSDを持ってるから余計だ。
でもそれは伝えなきゃわかんないものだ。
けれど私は、しゃべれなくなった。
声が出なくなったんだ。同世代の前では、ものすんごく出にくくなってね。
でも伝える手段も方法もなくって、伝える勇気さえも出なくなってて…
絶望して、諦めて、そればっかになってたんだ。
DVがあって、男性が苦手でも…何故か先生とは話せた。
それはきっと、いじめから救ってくれた恩師が、男性の先生だったからなんだよ」
クレハ「そうだったのですね」
「媚売ってるように見えた」
「俺達とは話さねえんだもんな」
ケイト「話しかけられないぐらいに恐怖が勝っちゃったんだよ;
もう;ごめん;」しゅん
クレハ「とりあえず落ち着きなさい。
今は私が見張っていますからね、いつまでも!」ぎらり
ケイト「それはあんまり嬉しくない;」
クレハ「え?」
ケイト「ちゃんと…向き合いたい。
理解しないまま、恨みだけが残っちゃったから。
きっと理解しようと頑張ればできるって…今では、想うから。
ラフィンコフィンのような快楽殺人者じゃない限りは」
クレハ「あれは例外でしょう;」
「同じにすんなよ;」
「ひでえ;」
ケイト「いや、同じだって考えてないよ!?;
それ以外なら何でも理解できそうな気がするって意味で!!;」
クレハ「悪気がないことぐらいわかっています。
彼等はおそらく、その限りではないと思いますが」じろ
「早とちりだって;」
「すまん;」
そうして気付けば、ケイトはある程度いじめっ子達とも話せるようになっていました。
ただ、どうあっても理解できない部分はあるようです。
といっても、『育った環境故の部分』だけですが。