第24章 誕生日とエイプリルフール
ケイト「全員が全員、その意見に共感できるわけじゃない。
たとえば私が嫌いだって想う人が、全員が全員嫌いだってならないのと同じように
考え方だって、抱き方だって、育った環境によって重きを置く所まで全然違うから…
それだけ、忘れないで下さい。
それと気付かなかったんなら伝えて下さい。できれば、声のトーンは下げないでくれると助かります;
威圧されるのが、どうしても父親のDVがあったもので苦手でして;」
そう言いながら、何度もお願いするようにぺこぺこと頭を下げていました。
ある程度意気投合できたのなら何よりです。
彼女が前に進む為の手助けになれたのなら、それが何よりですし…
当時の事柄による負はあれほど(405ページ参照)にひどく
その当時の悪夢が呼び起こされる度、前に進めないほどでしたので。
「うん、そりゃまあ」頷
「気を付ける点、それだけでいいんだな?」
ケイト「はい。お願いします」
そう言ってから、ケイトはいじめっ子達に背を向けて、私へと向き直った。
ちゃんとこうやって話せるようになっただけでも、本当に凄い成長ですね。
前(349,350ページ参照)は対面するだけでフラッシュバックで震えて倒れ、死のうとするほどだったのに(352ページ参照)…
クレハ「…いつもいつも、はっきりとものを言わないからそうなるんです」
ケイト「だって言ったら殺される環境だったんだ。当然だろ?」
クレハ「…それは、そうですが…」
ケイト「何か意見をしたら殺す、殴る、蹴る。
そんな環境で、どうやったら人にものを言えるんだ?
まあ…結局、一度で諦めた自分の責だ。
今になって、客観的に見れるようになったから解る。
謝らないといけない時に謝れなかった。
口に出す言葉が遅くって、もたついて、すっごく苦手だった。
話すことが苦手で、伝えるのもものすんごく苦手だった。
私だったら辛抱強く待てるけど、せっかちな人だっているし
そういった人からしたら、私は苦手なタイプだと思う。
育った環境を打ち明けてもあれだったのもあったから余計に、さ;」ずううううん
あら、塞ぎ込んでしまいましたね…;
その場でしゃがみ込むケイトを前に
私はそっと背に手を伸ばし、落ち着きを取り戻すまで撫で続けました。