第4章 攻略組
結果、誰も頼れる人がいないままだったため
一人でできることは率先して何でもやろうとするようになり、集中力も異様なほどに高まり
自分に対してはどれだけ理不尽なことをされても、それが当たり前と感じるようになってしまったようで…
一番根底に根付いてしまったのが、「人にされて嫌なことはするな」よりも
「助けたい」。
ずっと、助けて欲しかった。その時間が、幾度となくあった。
それでも、助けられなかった。
だからこそ…
誰かが、そういう目に遭いそうになると
「同じ思いをさせたくない」と、必死になれる。
「誰も助けてくれなかったくせに」「何とも思ってないくせに」「私の不幸が一番の幸せでしょ?」「生きてるだけで悪いって言ってきたくせに、今更大事にしろ?できるわけないじゃんか」
「死んだ方がいいって思ってるくせに」
そういった積年の悔恨、憎しみ、恨み、辛み、絶望…
勇気を出せない小心者とは違い、自身で考え、選択した。
反論すれば誰かが傷付く、同じ思いをさせることになる。
その者達と、僅かでも同類になってしまう。
それが嫌で、同じ思いをさせたくなくて、追い詰めたくなくて…
結果として、自分が全て悪いのだと
長年の積み重ねにより、そうされるのが当たり前となってしまった。
「人間はいいものではない。もしあるとしても、指で数えられるほどしかいない」
そう悟ったそうだ。
学年全体でそういういじめがあってもなお、誰も助けてくれない。
そんな絶望以外何もない上に、家族でもなお父からの激しいDVは止むことが無かったのだから余計だ。
その事情を聞こうともせず、話そうとしても拒絶し、涙しても無視し、苦しみを吐露しようとしても全て嘘だと否定する。
そんな人達しかいない周囲に、絶望以外はなかっただろう。
いや、それ以外が無かったからこそ…今も独りなのだと思う。