第23章 イベント行事
泣きじゃくるケイトを前に、先程の思考を巡らせた
時間にして数十秒後…
私は、ケイトからの想いを理解し、ちゃんと受け取った。
『私に依存しなくていい。離れたっていい。
自立して、自由に羽ばたいて欲しい。自分の幸せを追い求めて欲しい。
目の前の私に依存して、クレハが幸せになれないのは死んでも嫌だ。
どっちが上かなんて関係なく、この上なく大事に想っている』と。
そして、こうも言っているように感じた。
『絶対に、どっちも見捨てたくない』と――
その想いは、私のグレイクとケイトに抱くそれと同じ。
私とアスナが示した疑念は
どちらかを選べと、天秤にかけろと言っているのと同意義。
やっていたことの浅はかさ、嫉妬からの視野の狭さ。
それらを自覚した後に私へ襲い掛かってきたのは、深い後悔と申し訳なさだった。
傷付けてしまっていた。
その度に困っていただろう、心を痛めていただろうと、我慢させてしまったことも。
今の今まで、泣くほどに押さえ込ませてしまっていたことも…
クレハ「ごめんなさい」ぎゅうっ
その場で泣きじゃくったままのケイトを、私は抱き締めた。
クレハ「あなたを苦しませるつもりなんてなかった。
ただ、あなたと一緒に居たい。
そればかりで…他のことになど、目を向けていなかった。
それだけでいいと、思い込んでしまっていた。
あなたは…私と同じように、いつまでも一緒に居たいと思いますか?」
ケイト「思うっ;思うけど」
クレハ「それで縛るのは嫌なのですね?」なでなで
ケイト「うん!;」こくこく
クレハ「…わかりました。
昼寝などの寝る時は変わらず一緒ですが、たまには自分を見つめ直す時間も取り入れます。
そして…自分の幸せが何か、考えてから実行します。
でも、その幸せの中には『あなたとの時間』も含まれているのだという事
ゆめゆめ忘れないで下さいね?」にっこり&涙
ケイト「うん…私だって同じだよ;
もっと…色んなこと、クレハとしたいからっ;」
互いに涙は止まらない。
でも、この愛は止めようがなかった。
その言葉と共に抱き返してくるケイトのそれは、失いたくないと言っていた。
どちらも抱き締める力は弱められず、互いを求めていた。
私も…母を失った後で、同じことを思っていたから。