第23章 イベント行事
ケイト「キリトはプレイヤーの中ではダントツに反応速度が高い。
それはきっと、この世界に順応してるってことだろう。
βテストに当たった分、それだけVRをやってる時間も長いんだから、その分の慣れによるものが大きいと思う。
反応速度とは、ナーヴギアが使用者の脳に信号を入力し
それを脳が処理して、運動命令として出力するまでのレスポンス・スピードだ。
でも、戦闘に関しては別だ。
人生のほとんど全て、それを対人戦闘とその修業のみに費やしてきた私やクレハとは違って
それに関しては1年弱。
圧倒的に経験が足りていない。
どれだけ反応速度が高くても、それだけじゃ勝てない相手ってのはいる。
反応速度だけが全てじゃないし、『戦略』も『戦術』もまた無数に存在する。
私のような考え方なんて、同じ環境、同じ境遇、同じ性格、でなければ成し得ないだろう。
こういった手なんて、そう簡単に一瞬でできるものじゃないし、一朝一夕で身に付けられるもんでもない。
何度も何度も身体を動かして、身体の感覚を先の先の空気にまで尖らせて
ようやくあのスピードを身に付けた、行動の鋭さもまた同様にだ」
キリト「なるほど。
身に付けていくべき課題はそこってことか」
ケイト「そういうこと。
死んだら文句もくそもないだろ?
もしこれが真剣勝負で、相手にもし同じことを考えた奴がいれば、お前は死んでいた。
先に知れたんだからそこは喜ぶべき。死の確率が少しでも減ればいいもんだ。
私は死に掛けても誰にも気にも留められなかったしな。
『咄嗟のその瞬間、動けるか動けないか。
それが生死を分ける壁だ。
まずは感覚を研ぎ澄ませて、相手の動きを感じろ。そしてどんな動きをされても動じるな』
それに…
そもそも予測がつく動きなら、その時点で最初から負けてるのと同じだろ。
ソードスキルを使うにしても同じことだ。
どのスキルを使うかで幅が狭まる。そしてそれは規定通りの動きでしかない。
その動きに逆らえばスキルキャンセルとなって硬直時間が増えるだけ。
ならば止めとなる一撃のみに使うのが定石だ」真剣
キリト「!なるほど…正論だな」
説明を受けていて、戦闘においての視野が広がったようですね。
私も聞いていて頷くばかりです。