第23章 イベント行事
そのケイトの顔には恐怖が浮かんでいた。
それで差別されたら、距離を取られたら、今までのこの距離が崩れてしまえば…
そんな考えが、見て取れた。
クレハ「今更何を言うかと思えば…(ことっ)
そんなこと、既に解り切っていることです」
酒のグラスを机へ置きながら呟くと、ケイトは恐る恐る顔をあげた。
目に見えない恐怖、後にあるかもしれない不安に怯えるそれに
私は言い切った。
クレハ「それでも…
私は、他でもないあなただから振り回されてもいいと想えたのです。
だから、私は好きで隣に居る。
あなたと一緒に居たいから。
あんな風に振り回されたとしても…それが、楽しいから。
あなたは以前、私へ向けて言ってくれましたね。
『んなもんで申し訳なく思ってんな!!
どれだけ迷惑かけてもいいから!『私が!』傍に居たいから居るんだ!!
だから…そんな風に痛むな!!!
申し訳なく思うな!!私の想いを無視すんな!!!』と…(335ページ参照)」
そう目を伏せて懐かしく思いながら、言葉へと紡ぎ、私は笑った。
クレハ「その台詞、今そのまま返します。
その時の私と同じように、目先の負担や迷惑などにばかり目を向けて、肝心の『私の気持ち』を無視しないで下さい。
何より、負担をかけているのは私も同じです。
それでも一緒に居たいとあなたは望んでくれた。心から。
それが…私には、とても嬉しいことだったのです」涙目&微笑
ケイト「!!」
クレハ「あなたが…
この外人のような見た目にとらわれなかったこと、とても嬉しかった」
そう自身の胸に手を当てながら、私は笑って言った。
あなたのお陰で、堂々といられたと言っても過言ではなかったから。
あの日、あの時(499ページ参照)、ケイトの叫びが…
私は私らしく、堂々としていいのだと、大丈夫だと思うきっかけとなった。
その時から、ここで生きていく支えとなったから。
『この人は、ちゃんと「人の本質」を見てくれる人だと』、その言動から伝わってきたから
この人なら大丈夫だと思える人に…初めて出会えたから。