第22章 異変
ケイト「いじめをして堂々としてる奴に、ろくな奴はいないって話だ。
『される人の心を考えられてない』って奴の象徴なんだからな。
気が食わなけりゃ言うこと聞かす為に、満足する為に、自己の感情のままに『理不尽な扱い』をし続けることほど
ひどい行為はない。殺しよりも圧倒的にな。
その意味をよく考えろ。された側の気持ちも含めて、全部見つめ直してみろ。
あんたらがやった行為は…快楽殺人者のそれよりも、非常に質が悪い。
殺人者は殺して終わりだというのに対し、そういういじめって行為は…それに終わりがない上にずっと続けてやがるんだからな。
大人になっても、その概念を捨て切れずに聞いてきた連中に『悪い奴なんだ』って言い聞かせる奴もいるぞ?
そんな大人になって満足かどうか、子供の頭で必死に考えろ。
考えることを忘れれば、そういう行為が非常に愚かだってことさえも気付かないままになる。
それも…恥ずかしい大人としてな。
自分のやってる行為を見つめ直す努力をしてくれ。
嫌な思いを繰り返させるまいと必死に頑張って耐え抜いた奴と
嫌な思いをさせ続けてまだ足りないといつまでも続けて何とも思わない奴…
前者がいじめられっ子で、後者がいじめっ子だ。
どっちの方が人として堂々としていられる行いか、大切な人に知られて堂々と胸張れるか…
しっかりよく考えろ。自分ってもんを築き上げてみせろ。
私の人生経験から教えられるのはここまでだ。
散々人に振り回されてきたからな。
というか、嫌な思いをこれ以上させまいと、つい最近まで人に合わそうとびくびく怯えながら頑張ってきたわけだし。
人は、自分を満足させる為に居るものじゃない。
自分と人、その違いを認めろ。
受け入れられないんなら最初から近付くな。
腹立つから気に食わないから満足するだけ傷付けようってのは、あくまで『利己的な行為』だと自覚しろ。
欲求を満たす為にやってるだけなんだからな。
だからいじめっ子の傷など知らんし、理解しようとも思えん。
そういう環境だったとして、人を巻き込んで平然としてられる心境など私にはわからん。
って…一方的に話し続けてごめんな(両手合わせ)
ま、大事なのは…自分っていう人としての生き様の質ってことだ」
ケイトの噛み砕かれた言葉に、子供達は揃って同時に頷いた。