第22章 異変
ケイト「胸を張っていい。誇れ。
自分の心は耐え切ったのだと」
「うんっ;;」ひっく
涙を拭いながら、彼はその言葉に何度も頷いた。
少しだけ、彼が救われたのが見て取れた気がした。
ケイト「警備課が子供達は大丈夫だろうとたかをくくっていた。
その現状に目を通せなかった私にも責任がある。
いち早く気付けていれば、すぐに助けられたかもしれない。
遅くなって…ごめんな」ぺこ
「ううん。大統領は悪くn
ケイト「そういう責任があるって話だ。悪くないなんて言わないでくれ。
悪い所ってのは、誰にでもある。要はそれを受け入れられるか、受け入れられないかだ。
でもだからといって、謝って時間が返ってくるわけでもないし、その傷の痛みがマシになるわけでもない。
その心の傷によって、人生において深い拭い去れない障害を残すことだってある。
実際、私は残された側の人間だ。
私が傷付けられることが、周囲にとっての喜びなのだと、本気で信じていた。
その経験によって歪んだ固定観念が染み付けられる。そして抵抗を忘れる。心までも失っていく。
考えることも忘れて、そうされるのが普通だと受け入れてしまう。
お前はまだ半年だから、心はあるだろう。
寄り添ってくれる女性、シスターだっているんだからな。
私の場合は家にも学校にもどこにも居場所なんてなかった。拠り所なんてなかった。
だから…壊れたんだ。
小僧…名を何という?」
いじめられっ子「正一…三上正一」
ケイト「プレイヤー名でいいんだよ、そこは^^;」引きつり笑い
正一「あ;Shoichi!」
ケイト「正一、その痛みを忘れるな。
悪い奴だと周囲へ巻き散らかされれば、自然と人は接触を絶とうとする。
好き好んで話しかけたり理解しようとする人は、それこそ遥かに激減するだろう。
だから理解者ができないまま、そうされるのが普通だという環境を築き上げられた」
紡がれる言葉に、彼は何度も頷いて聴き入っていた。
かく言う私も、殴りながら小耳に挟んでいるわけですが…