第22章 異変
ケイト「一人きりしかいないものにとっちゃ、周りのそれが全部鮮明に映り込んでくる。
話したり、どこかに意識を向けていない分ずっとな。
だから余計に聞こえてくる。耳にはっきりと残る。
一生消えない傷として、いつ来るかもわからない悪夢。
痛い、痛い、助けて、その声は届かずずっと続く。悪いのはお前だと。
それはどうあっても忘れ難い。一生涯忘れ得ないだろう。
で…いじめていた奴、前に出ろ。
同じことをされないと解らないようだから、私がやる」
クレハ「いいえ。私がやります」
ケイト「い?;」
クレハ「いいでしょう?そのぐらいわがままを言っても」
ケイト「でもさあ;
結構やってて辛いと思うよ?;」
クレハ「御冗談を。
私とあなたの仲です。
あなたをいじめていた奴等への復讐が出来なかった鬱憤を晴らす為にも、どうかご協力を」ぎろりっ
ケイト「…はい;
(だからさっき私を睨んでたのか;」汗←違う
それから後…
彼がやっていたことを、そのまま彼へ返し続けていました。
そのいじめっ子がやっていた行為は、いじめられっ子へ向けての攻撃でした。
スキルの練習台としてのサンドバック、ひどい言葉を投げかけ続けていたそうです。
同じ行為をいじめっ子にやり続ける中
いじめられていた彼は、笑うわけでもなく…泣いていた。
一瞬だけ、ざまあみろという想いがあったようにも感じた。
だが、それは本当に一瞬だけで…当時のされてきた想いが蘇ってか、苦しそうに泣いていた。
相手の為か、自分の為かはわからないが…
その涙は、偽物ではなかった。
ケイト「その痛む心を、大事にしてやれ」
「!」顔をあげる
ケイト「人がひどいことをされるのを見て、他人事の体を装って見て見ぬ振りをするばかりか泣きもしない。
そういう奴は、される側の痛みを想像できない連中だ。
しないという選択肢を取っていながら、問われれば「しろと言われればできる」と言い張るだろう。
当時は、そんなお前の想いを想像さえもしなかったのにだ。
そんな奴等よりも、お前は人として遥かに秀でている。
必死に耐えた、耐え忍んだ。半年間もずっと」
「っ;;」涙&ぶわっ
その瞬間
シスターにも言えないままでいた彼は、涙を流しました。
堪え続けていた涙を、ようやく今になって――